総合コホートセンター開設にあたって

 疫学の中でいろいろな要因に暴露したヒト集団を前向きに観察して病気の発症と暴露要因との因果関係を検証する研究手法が“コホート研究”であり、対象となる集団を“コホート”といいます。九州大学大学院医学研究院は、1960年代より半世紀にわたり世界に先駆けて大規模コホート研究を展開してきました。久山町や福岡市東部における地域コホート、カネミ油症患者を対象とする環境コホート、脳卒中、糖尿病、腎臓病、高血圧の患者さんを対象とする疾患コホートなど6万人にも及ぶコホート研究を展開しています。さらに、ゲノムや蛋白質の網羅的な解析手法であるオミクスの技術が進歩し、ヒトから得られたサンプルから膨大な情報を得ることが可能となってきました。
 これらのオミクスデータをコホート研究に融合し、精度の高い新世代コホート研究を展開するため、平成26年4月総合コホートセンターを開設し、さらに平成31年4月に現在の場所に新たなセンター施設をオープンしました。本センターでは、各コホートデータの集約化・均一化及びコホートデータ の精度向上を行うとともに、“新世代コホート研究”及び“国際共同コホート研究”の推進を行なっています。また、これらの研究を推進する研究者の育成を行なう ための体系的な教育システムの開発を行なっています。総合コホートセンターは、学内外の関係部局との組織的連携を加速させ、国際コホート連携を主とする共同研究を展開して、全世界レベルでの連携に発展させています。何卒、ご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

© 2020- Center for Cohort Studies, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University.